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「核兵器をなくす国際市民フォーラム」のロゴデザイン=核兵器をなくす日本キャンペーン提供
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 核兵器禁止条約第3回締約国会議が3月、米国で開かれる。世界の核被害者の援助などについて話し合う予定で、条約に署名・批准していない日本にもオブザーバーとして参加を求める声が根強い。会議を前に、国内外の核問題の専門家や市民らが「核兵器をなくす国際市民フォーラム」を8、9日、東京都内で開く。

 フォーラムの冒頭では、昨年12月にノーベル平和賞を受けた日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳代表委員(92)が講演する。田中さんは「被爆80年は、高齢化の進む被爆者を中心に声を上げられる最後の節目」と話す。

 「核兵器が使われるか否かはある意味、未来の問題であり若者の問題」。平和賞受賞で核問題への関心の広がりを感じ、若い世代と核廃絶を訴える好機と捉えている。フォーラムにも幅広い世代に参加してもらいたいという。

 締約国会議では核実験などによる被害者の援助や汚染された環境の修復も主な議題になる見通し。フォーラムでは、今回の締約国会議の議長国・カザフスタンと日本との連帯の可能性などを語る討論もある。登壇する平林今日子・京都大特定講師(平和学、核被害研究)は、旧ソ連が450回を超す核実験をしたセミパラチンスク核実験場周辺の住民への調査に携わった。長期にわたって低線量の放射線にさらされ、被曝(ひばく)した住民は100万人以上といい、「被害者救済の議論を深めて欲しい」と語る。

 締約国会議では、被爆者援護などに知見がある日本の貢献が期待されているが、石破茂首相は政府のオブザーバー参加を見送る方向で検討中とされる。代わりに与党議員の派遣を調整していたが、自民党の森山裕幹事長は4日、自民議員を派遣しない考えを明らかにした。平林さんは「広島や長崎からも市民団体が多く渡米する。日本政府もせめてオブザーバー参加すべきではないか」と話す。

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 フォーラムは渋谷区の聖心女子大であり、一般社団法人「核兵器をなくす日本キャンペーン」の主催。核禁条約を核保有国やその同盟国にどう広げるかというテーマや核被害者への援助などを討論する。議論した内容は提言にまとめ、締約国会議に提出するという。

 核禁条約策定を主導したオーストリア外務省のアレクサンダー・クメント軍縮・軍備管理・不拡散局長は「核兵器の人道的影響に関する科学的研究の進展に焦点を当てたい」と話し、核使用のリスクや、核兵器を持つことで相手の攻撃を思いとどまらせる「核抑止」のもろさを強調したいという。

 チケットは前売りで一般3千円(1日のみ参加は2千円)、15~24歳は2千円(同1500円)。14歳以下とオンライン視聴は無料。詳細はウェブサイト(https://2025forum.nuclearabolitionjpn.com/別ウインドウで開きます)で。

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